試合動画
井上尚弥に5億円のオファー
井上のスポンサー担当者によると、既に10社以上の有力企業からスポンサー契約に関する打診、オファーが届いたという。さいたまスーパーアリーナの試合会場にも、スポンサー契約に興味を示す数社の企業側が視察していた。同担当者は「平均で1社あたり4000~5000万円の条件」と明かした。単純計算でも5億円近くになる。
現在、井上尚は通信事業大手のNTTぷららとメインスポンサーを結ぶ。繊維製品大手グンゼのボクサーパンツ「ボディーワイルド」のイメージキャラクターも務める。今回もテレビCMを含めた幅広いオファー内容のスポンサー契約が舞い込んでいる。同担当者は「すべての企業の方と契約はできないですが、1つ1つ話をうかがっていきたい」と慎重に話した。
来春ラスベガスで日本人初3団体統一戦
井上尚は米国に本格的に進出することが決まった。WBSS決勝に合わせて来日した米プロモート大手トップランク社トッド・デュボエフ社長が視察。試合後には井上尚らとともに記者会見し「個人的にも井上選手をフォローしてきた。SNSなどもチェックしてきました」と複数年契約を結んだことを発表した。さらに「来年、まず2試合は米国で計画している。年末に日本で計画しています」と具体的なプランまで披露。来年の主戦場が米国になることを明かした。
全12ラウンドの趨勢
【1回】(井上が抜群の入り、いきなりドネアをぐらつかせる)10-9、10-9、10-9 ※ジャッジのポイントはすべて井上から見て
【2回】(ドネアの左フックが直撃、井上は右目上をカット)9-10、9-10、9-10
【3回】(ドネアの左フックに会場がざわつく場面も)9-10、10-9、10-9
【4回】(ドネアが圧力をかけてくるが、井上が有効打で上回る)10-9、10-9、10-9)
【5回】(井上が強烈な右を当てる。追い打ちかけるもドネア耐える)10-9、10-9、10-9
【6回】(井上が手数で上回るも、ドネアも一歩も引かない)9-10、10-9、10-9
【7回】(ドネアが盛り返す。ジャブの差し合いで優位に。井上はややスローダウン)9-10、9-10、9-10
【8回】(このラウンドもドネア、井上は圧力に後退する場面目立つ)9-10、9-10、9-10
【9回】(井上の出血目立つ。ドネアの右ストレートをもろに被弾。クリンチで逃れる)9-10、9-10、9-10
【10回】(井上が再び盛り返す。クリーンヒットを当て、場内大歓声)10-9、10-9、10-9)
【11回】(左ボディでドネアがついにダウン。立ち上がり、井上は攻勢をしかけるが、仕留め切れず)10-8、10-8、10-8
【12回】(ダメージのあるドネアだが一歩も引かない。両者抱き合い終了。勝敗は判定に)10-9、10-9、10-9
トータル、114-113、117-109、116-111で井上が3-0の判定勝利を飾った。
ドネア「息子のためにトロフィーを貸してくれた井上に感謝」
息子2人との約束のため、ノニト・ドネア(36=フィリピン)が井上尚弥から優勝副賞ムハマド・アリ・トロフィーを“レンタル”した。
自身のツイッターで「私は息子たちにトロフィーをみせると約束していたので、涙を流してイノウエに一晩だけ欲しいと謙虚な気持ちでお願いした」と説明。その後、同ツイッターには一緒に来日していた6歳と4歳が同トロフィーを囲んで「井上選手、おめでとう」と動画で感謝の言葉を口にした。なおトロフィーは担当者によって横浜市に運ばれ、井上尚の会見場に届けられた。
ノニト・ドネアが見せた父親の背中
ノニト・ドネア選手がインスタグラムを更新し、井上尚弥選手との秘話を明かした。
判定で敗れたドネア選手の傍らには、リング上で井上選手が掲げたはずのモハメド・アリ・トロフィーが置かれていた。
敗戦が子供たちの教訓になる
「まずはリング上で私を守ってくださった神に感謝します。リングスター・スポーツのリチャード・シェーファーにも、私を信じてこのトーナメントに参加させてくれたことに感謝します。そして本田さん、帝拳さんにも感謝を。あなたが私や私の家族、チームに見せてくれたおもてなしは素晴らしいものでした」
なぜドネア選手がモハメド・アリ・トロフィーを持っているかが明かされた。
「最後に私の愛する家族へ。私は戦士です。私はモハメド・アリ・トロフィーを獲得するため日本にやって来ました。私は息子たちに朝、それを見せると約束しました。だから目に涙を浮かべながら、井上に『一晩だけ貸してはもらえませんか』とお願いしました。自分のためではなく、自分の約束のために」
父親として子供たちとの約束を守るため、勝者に平身低頭して頼み込んだというドネア選手。この一戦が子供たちには人生の教訓となるだろうと続けた。
「最善を尽くしても足りないときはあります。あなたは勝つかもしれないし、負けるかもしれない。息子たちは決して家に持ち帰ることのできないトロフィーを目にし、もっと一生懸命トレーニングしたいという意味を理解するでしょう。そして、私は戦うことについて話しました。諦めるよりも、命を懸けて戦ったほうが良いと。私たちは常に戦います」
ドネア「イノウエが真の王者」
敗れたドネアは素直に井上の実力を認めた。切れ味鋭い左のカウンターを武器に12回を戦いきり「イノウエが真の王者だと証明した試合だった。今までの対戦相手の中であれだけ私のパンチを耐えられた選手はいなかった。素直におめでとうと言いたい」とコメントした。
井上尚弥「見応えのある試合でしたね」
WOWOW「エキサイトマッチ」でノニト・ドネアとのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝を解説した。
判定までもつれた激闘を本人がシーンごとに細かく解説。2回に左フックを浴びて右まぶた切った場面を「ここで全てが壊れた」と準備していたプランが狂いが生じたことを明かし、「ドネアが二重に見えました。ガードで右目を隠すことしかなかった。左目で焦点を合わせて戦いました」と語った。9回の右ストレートでぐらついたピンチも「正直、これは利きました。ただ、ドネア戦に向けて首も鍛えていたので、耐えることができました」と振り返った。
そして、苦しみながらも勝利を決定づけた11回のダウンシーン。「ドネアがカウンターを狙っているのが分かった」と慎重な姿勢を崩さなかったことも明かした。収録を終え、「振り返って見ても、見応えのある試合だったと思います。楽しかったです」と笑顔で話した。
番組内では判定で敗れ、王座陥落した弟でWBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(23)=大橋=の王座統一戦も解説した。
ドネア戦を直前に控えていた井上尚は控室で、弟の試合をテレビで見て、8回の公開採点を聞いた時点でテレビを消したという。フルラウンドを見たのは既に2度目といい、「拓真には『1からやろうぜ』と言いました。もう吹っ切れているので、すぐに練習は始めるでしょう」と弟の再起を期待した。
皆さん、今日は本当に熱い声援ありがとうございました。
苦しい場面が山程ありましたが皆さんの声援で持ち堪えることが出来ました。
このFINALでドネアと戦えた事を誇りにこれからも精進して頑張って行きますので引き続き応援宜しくお願い致します。また落ち着いたら更新しますね! pic.twitter.com/OpVFXXjlRw
— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) November 7, 2019
ノニト・ドネア「私はミステイクを犯した」
バンタム級史に残る死闘を終えて
ーー凄まじい試合でした。終了後、会見に出ずに病院に向かいましたが、身体は大丈夫ですか?
ND : まったく問題ないですよ。ハードなファイトだったし、何度か効かされてしまったから、病院で診断を受けて、大丈夫だと確認しておきたかったんです。余計な心配をせずに家に帰りたいですからね。
ーー井上尚弥(大橋)選手との激しい戦いをどう振り返りますか?
ND : 良い試合になりましたが、私は多くのミスを犯してしまいました。ゲームプランを間違えたところがあります。パワーに頼りすぎてしまったことを否定はしません。もちろん井上を讃えなければいけませんね。彼は単なるパワーパンチャーではなく、タフなファイターであることを証明しました。私はこれまで左フックで多くの選手を倒してきましたが、彼は最後まで立ち続けました。
ーー井上選手の戦力は事前に予想していた通りでしたか?
ND : パワーはありましたが、人々に言われているほどではありませんでした。ただ、スキルは想像以上。そして、タフネスは素晴らしかったと思います。
ーー11ラウンドは左ボディでダウンを喫しましたが、ダメージは激しかったですか?
ND : あれは効きましたね(苦笑)。あのパンチを受けた後、私には選択肢があり、立ち続けることもできました。ただ、その上でまたボディを打たれたら、そこで終わってしまうかもしれない。だから膝をついてカウントを聴いたんです。そのカウント中に回復したのですが、その後の私はまた顔面へのビッグパンチを狙いにいってしまったのは頂けなかったと思います。
ーーその前の9ラウンドにはあなたのパンチを浴び、井上選手は効いていたようにも見えました。あそこで詰めにいけなかった理由は?
ND : 先ほど“ゲームプランを間違えた”といったのはその部分です。カウンターで井上にダメージを与えたから、その後もカウンターを狙い続けてしまった。あそこは自ら仕掛け、仕留めにいくべきでした。それこそが今戦で私が犯した最大のミステイク。その代償を敗戦という形で支払うことになりました。
ーー確かに敗れましたが、リングを去る時、日本のファンはあなたにスタンディングオベーションを送りました。
ND : ファイターとして、私たちはすべてを出し切りました。2人のウォリアーが全力を尽くしたことに、日本のファンも感謝してくれたのでしょう。
井上はこれまでで最高の対戦相手
ーーそんなファンの反応が示す通り、井上のKO勝利が濃厚と目された一戦で、あなたは人々が間違っていると証明しました。そのことに満足感は感じませんか?
ND : 自分に何ができるかはわかっていたので、周囲が間違っていると示すことに興味はありませんでした。それよりも、大切なのは私にはまだ改善点があるということ。この試合からも多くを学びました。まだ最高の自分には到達していないし、そこに辿り着きたいと思っています。
ーー試合後、井上選手からは何を言われたのでしょうか?
ND : それほどしっかりとした話をしたわけではないですが、彼は私に尊敬の念を盛んに示してくれました。
ーー戦い終えて、井上選手はこれまでで最高の相手だったと感じていますか?
ND : そうですね・・・・・・はい、確かに彼こそがこれまで対戦した中で最高の選手だったと思います。難しい試合でしたし、多くのパンチを浴びました。彼は私が望んでいた通りの戦いをさせてくれませんでした。
ーー井上選手の今後をどう予想しますか?
ND : これから先に階級を上げるのであれば、より難しい旅になるでしょう。ただ、この階級に止まるのであれば、長い間勝ち続けられると思います。
ーーお話を聞いている限り、あなたはまだ現役引退を考慮するつもりはなさそうですね。
ND : もちろんです。私は依然として戦うのが大好きです。今回の試合で、私が衰えているわけではないと示せたはずです。誰もが恐れた“モンスター”と戦い、1ラウンドで倒されると考えた人がたくさんいたにも拘らず、私は戦い続け、逆に倒してしまう寸前までいったんですからね。まだ力を残しているし、世界に向かって示すべきこともたくさん残っています。
ーー当面のプランは?
ND : リラックスして、子供たちと一緒に多くの時間を過ごしたいです。ずっと子供たちと遊ぶ時間がありませんでしたからね。しばらくはゆっくりするつもりです。
ノニト・ドネアのトランクスが『ドラゴンボール』だと話題に
ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が11月7日に行われ、WBA・IBF王者の井上尚弥選手(大橋ジム)がWBAスーパー王者のノニト・ドネア選手(フィリピン)に判定勝ちした。
36歳のドネア選手は世界5階級制覇の『レジェンド』。この試合には「自分は世代交代の前に立ちはだかる壁だ」と宣言して望み、最終ラウンドまでもつれる接戦を演じた。ドネア選手の戦いぶりには日本の段からも多くの称賛が寄せられている。
同時に試合中、ドネア選手のトランクスが『ドラゴンボール』を連想させることも話題となった。
- ドネアのトランクスがドラゴンボールを彷彿とさせる
- ドネア、ドラゴンボール絶対好きだろ
- ドラゴンボールの孫悟空の道着みたいなカラーリング
日本の漫画やアニメが好きだと公言してきた。過去にツイッターでは「漫画『はじめの一歩』と『史上最強の弟子ケンイチ』を読んでいます」とつぶやいた。特に『はじめの一歩』は「とても長く読み続けています」と愛読者であることを明かしている。
『はじめの一歩』の作者・森川ジョージさんと対談した際には「一歩と話してきたよ! まあ少なくとも一歩の作者とはね」と興奮気味にツイッターを更新した。
Just talked to Ippo! Well Ippo's writer at least…haha
— Nonito Donaire (@filipinoflash) August 4, 2011
I been reading hajime no ippo and historys strongest desciple (manga).
— Nonito Donaire (@filipinoflash) November 25, 2009
そのほかにはバスケットボール漫画『SLAM DUNK』も愛読しており、ファンから「好きなキャラクターは?」と聞かれ、主人公の桜木花道と答えたこともある。
海外で人気が高い『ドラゴンボール』も好きなようだ。過去には『ドラゴンボール』キャラクターのように、重りを着けてトレーニングする姿も公開している。動画の後半では、ドネア選手がフリーザ戦のピッコロのように重りを脱ぎ捨てた。
高視聴率をマーク
WBSS決勝は平均視聴率が15・2%、瞬間最高は20・5%をマークした(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。会見に臨んだ井上尚は高視聴率に「トーナメントが決勝ということもあり、注目度も高く、ボクシングをあまり知らない多くの人にも見てもらえたのかなと思うとうれしいです」と喜んだ。
井上尚弥の窮地救った息子
筋肉痛、後頭部の痛みも続き、過去最高のダメージとも言える状態での翌日会見となったものの「やっと世界戦をやったボクサーになれたのかなと。傷が気持ち良いです」と満足そうな笑みを浮かべた。
2回にドネア得意の左フックを浴びて右目上を切って「2重に見えた」と視界がぼやけた。さらに9回に連打を浴びてピンチに陥った時、長男明波くんの顔が浮かんだという。
「パンチが正直、効きましたね。持ちこたえられたのは息子の存在がデカい。バチンと打たれた時、息子の顔が浮かんだ。初めてのこと。それだけ家族、息子の存在が大きい。負ける姿をみせたくない。いつまでも強いお父さんでいたい」と口にした。
これが令和の日本人ボクサー
KO決着を逃した。窮地もあったし、流血もした。それでも井上は5階級制覇のドネアと真っ向から打ち合い、ダウンを奪い、高度な技術戦を制した。堂々たる快挙。これが令和の日本人ボクサーなのだ。世界に挑むために体重を限界まで絞ってパワーの差を埋め、スタミナと手数でテクニックに対抗する、そんな日本選手のイメージは今は昔。井上が拳で示してくれた。
昭和の時代に26人だった世界王者は、平成の30年間をへて91人まで増えた。ボクシング大国になった。13年にWBAとWBCに加えて、IBFとWBOの王座も承認され、ベルトは倍増した。しかし、激増の要因はベルトの数ではない。「今の日本人の技術は世界でもずぬけている」と、井上の所属ジムの大橋秀行会長は断言する。
転機の1つが日本プロボクシング協会が08年にスタートさせたU-15(15歳以下)全国大会。その競技性から以前は高校から始める選手が大多数だったが、小中学生から全国規模で活躍できる場ができた。井上尚弥、拓真兄弟や3階級制覇王者の田中恒成はこの大会の優勝者。早期からの英才、実戦強化で、技術レベルが飛躍的に上がった。
90年代初頭まで世界王者になれば国民的ヒーローになった。大橋会長はWBC世界ミニマム級王座を奪取した翌日に首相官邸に招待されたという。しかし、平成以降、世界王者の数が急増し、野球やサッカーなど他競技で海外で実績を残し、世界から高い評価を受けるプロ選手が増えたことで、世界王者になっただけでは、以前ほど注目されなくなった。
井上の現役世界王者らによる最強トーナメント挑戦は、そんなボクシング界に新たな道を切り開いた。国内で防衛を重ねるのではなく、リスク覚悟で世界の舞台で勝負をかけて、真のバンタム級の頂点に立った。その評価は日本を超えて世界中に広がった。日本の世界王者から世界のヒーローへのレールを敷いたのだ。令和元年、日本のボクシング界も新たな時代が幕を開けた。
井上尚弥の最強3傑入りを示唆
「ザ・リング」のダグラス・フィッシャー編集長(49)が7日までに日刊スポーツの取材に応じ、現在PFP4位井上尚のさらなるランクアップを示唆した。
責任者となるフィッシャー編集長は、まず井上尚が高く評価されていることを力説した。「多くのメディア関係者、ランキング委員会メンバーは、既にPFPランキング上位に井上尚の名があることに対して異論がない」。現在のPFPは1位にアルバレス、2位にロマチェンコ、3位にはクロフォードというビッグネームが並んでいる。「ドネア戦での試合の勝ち方によります」と前置きした上で「トップとの対戦がここ数年ないクロフォードよりも井上尚が上位にランクされる可能性は十分にあると思います」
階級を上げていけば(6階級制覇王者)パッキャオのような存在になれる逸材」と大きな期待を寄せていた。
ザ・リングとは
米国で1922年の創刊当初からボクシングのみを基本線に扱う月刊専門誌。毎月、ボクサーのランキングを独自の基準で選定するなど、ボクシング界では最も歴史と権威ある雑誌とされ「ボクシングの聖書」とも呼ばれる。同誌編集委員会に各国記者らを加えたメンバーで毎月独自に各階級、パウンド・フォー・パウンドで世界10位までランキングを発表。設立当初から独自に認定した王者にチャンピオンベルトも授与。02年より本格的に各階級ごとのベルト授与も開始。また年間最優秀選手など表彰も行う。
パウンド・フォー・パウンドとは
異なる階級の選手を体重差がなかったとして比較した場合の最強王者を示す称号。過去にはマイク・タイソン、ロイ・ジョーンズ、近年ではマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーがPFPの評価を受けた。「ザ・リング」でトップ10入りした日本人は井上以外では元WBCバンタム級王者の山中慎介、元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志がいる。