マイク・タイソン VS ロイ・ジョーンズJr
<ボクシング:エキシビション8回戦>
15年ぶりにリング復帰する元世界ヘビー級王者マイク・タイソン)と18年以来、約2年ぶりのリングとなる元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.によるエキシビション8回戦。
タイソンは、強烈なボディーブローで終始圧倒した。

試合開始のゴングが鳴るとスピードに乗った左ジャブから強打を振り回してジョーンズに襲いかかった。ジョーンズはクリンチとフットワークでタイソンの強打を避ける戦いに終始。タイソンは狙いをボディーに絞って常に優位に戦った。

公式な試合ではないためジャッジによる正式な採点はなく、WBCが選定した元王者3人の参考採点では引き分け。

結果はドローとなったがタイソンは「みんなが喜んでくれたらいい」と納得の表情だった。
試合内容
タイソン | △ | ドロー | △ | ジョーンズJr. |
【8回】
タイソンに疲れは見えず、開始から果敢に打っていく。ジョーンズはクリンチとフットワークでしのぐのが精いっぱい。1分すぎにタイソンがコーナーにつめて左ボディーブローを連発。ジョーンズは疲れて動きが鈍る。終了間際にタイソンのボディーブローがヒット。タイソンが試合を通じて終始ジョーンズを圧倒した。
【7回】
タイソンがゴングと同時に強打を振るって前進。左右フックをボディーに決める。30秒すぎにコーナーに押し込んでタイソンが連打も、ジョーンズはクリンチで決定打を許さず。終盤はジョーンズが距離をとってタイソンの前進をかわす。
【6回】
タイソンのスピードは衰えず、開始早々、鋭い左ジャブから左ボディーブローが決まる。ジョーンズの遠い距離からの左ジャブもタイソンはボディーワークでかわす。終了間際にジョーンズが飛び込んでの左右パンチを浅く当てる。
【5回】
中間距離での打ち合いは少なくなり、両者クリンチが多くなる。30秒すぎにジョーンズが速射砲のような連打を出すが、タイソンはすべてかわす。1分すぎ、タイソンが頭をつけてジョーンズのボディーを執ように狙う。1分20秒すぎには強烈な左フックがジョーンズの顔面をかすめる。
【4回】
ジョーンズの遠い距離からの左ジャブがタイソンの顔面をとらえる。接近戦ではクリンチでタイソンの強打を封じる。1分30秒すぎにタイソンの右ボディーブロー2発さくれつ。その後も接近戦でタイソンがボディーブローを決める。
【3回】
タイソンが上体を振ってジョーンズの懐に飛び込む。30秒すぎにタイソンの飛び込んでの左ストレートがジョーンズの顔面にヒット。ジョーンズが左右にスイッチしてかく乱しようとするがパンチは空転。終盤はタイソンのボディーブローが有効。ジョーンズの息が上がりはじめる。
【2回】
タイソンが左ジャブとウイービングで前進。いきなり飛び込んでジョーンズをロープに追い詰めて左フックをボディーに決めた。1分すぎからジョーンズがフットワークを駆使して距離を取る。その後はジョーンズのクリンチワークでタイソンのパンチが封じられる。
【1回】
タイソンは黒いTシャツに黒い帽子、黒いマスク姿で入場。現役時代と同じ黒いトランクスとリングシューズを着用していた。ゴングと同時にタイソンは鋭い左ジャブで前進。左フックをボディーに決めた。ジョーンズはフットワークとクリンチを使って強打をしのぐ。1分すぎにタイソンの左フックがジョーンズの顔面を浅くとらえた。タイソンは接近を試みるが、ジョーンズはクリンチでしのぐ。
タイソン「2分が3分のように長かった」
試合後、タイソンはさすがに疲れた様子で「2分が3分のように長かった。引き分けでいいよ。今は8回戦い抜けたことで喜びを感じている」と振り返った。一方、ジョーンズは「タイソンのボディーが本当に効いた。すごかった。やろうとしたアウトボクシングもできなかった」とタイソンの強さに脱帽した。
ともにヘビー級を制した名王者だが、もともとミドル級(72・57キロ)だったジョーンズに対して、タイソンはナチュラルなヘビー級。その体格差、パワーの差が勝敗を決めると予想する声が多かった。直前の賭け率も15対8でタイソン有利。一方、2年前まで現役だったジョーンズも“実戦勘”でタイソンに最後まで決定打を許さなかった。

タイソンは「またやりたい。人々を励ますために試合に出たんだ。この年でこれだけ頑張れるというのを見てほしい」。
タイソン「ゴングが鳴ったらすぐ彼のところへいく」
会見で、タイソンは“真剣勝負”の殴り合いを予告した。1回2分ながらもヘッドギアはなし、レフェリー、WBCによるリモート採点で勝敗も決まる。「ゴングが鳴ったら、すぐに彼のところへいき、何が起こるかを見る。それは面白いはず。私はファイター、彼もファイター。そのままパンチを打つつもり」と不敵な笑み。ジョーンズJr.が強敵であることを素直に認め「うまくたたけるのか、それは分からない。多分、簡単にやれる方法は分からない」と警戒した。

ボクシングレジェンド達がタイソン15年ぶり復帰戦を予想
イベンダー・ホリフィールド氏
「タイソンがロイをつかまえることができれば、ダメージを与えられるだろう。しかしタイソンがつかまえることができなければ…、それはひどい戦いになる」。予想:条件付きでタイソン勝利
ダニー・ウィリアムズ氏
「ロイは深刻なケガをするだろうと思う。ナチュラルなミドル級の肉体とウエートだからな」。予想:タイソン勝利
ジェームズ・ダグラス氏
「ロイにはチャンスがあるが、それはわずかなもの。私よりも体格がスリムだからね」。予想:タイソン勝利
フレディ・ローチ氏
「マイクがロイをKOすると思う。私はマイクにロイの体に残された技術に注意しなければならないと伝えた。それはロイが(98年に)バージル・ヒルをKOするために出したパンチだ」。予想:タイソン勝利
オスカー・デラホーヤ氏
「いつものように、もしジョーンズJr.が何かをやってきたとしても、驚かないだろう」。予想:タイソン勝利
ジェフ・メイウェザー氏
「タイソンが力を持っていることは分かっている。途方もないハンドスピードもある。もしお金を賭けるとすれば、タイソンを選ぶ」。予想:タイソン勝利
アミール・カーン氏
「マイクとロイが戦う理由がわからないが、彼らは友人なのではないのか。どちらが勝つのかと聞かれれば、私の意見ではロイ・ジョーンズだ」。予想:ジョーンズJr.勝利
タイロン・ウッドリー氏
「マイク・タイソンが誰かに触れれば、彼が何歳であっても相手はダウンすると思う」。予想:タイソン勝利
大橋秀行氏
「パワー、スピードで圧倒し、事実上のKO勝ちだろう」としつつ、引退から2年というジョーンズJr.の実戦感覚にも注視。「タイソンが1回につかまえればKOだが、つかまえられずに疲れてしまうと8回まで面白くない展開になる可能性も秘めている」