鶴竜が引退会見
現役引退した元横綱の鶴竜親方が、引退会見に臨んだ。
◇一問一答
-今の心境は
鶴竜 何かから解放された。そんな気持ちです。ボーッとしてるじゃないけど、何も考えずにいられる。
-来場所にかけると思っていたが決断の経緯は
鶴竜 直前のけがもそうだが、ここ最近けがで土俵に立つことができず連続休場できていた。たくさんの人にもう1度土俵に上がる姿を見せたいと思っていたが、気持ちの面で少しずつ削られて、体も悲鳴をあげて、中途半端に土俵に上がるわけにはいかない。引退という決断になった。
-気持ちが揺れた
鶴竜 けが早く治るかと思ったが長引いた。体をもう1回作るのは大変。その中で気持ちが切れてしまった。
-横綱として
鶴竜 休場多かった。けがして復帰、何回もあった。協会の人たちにも迷惑かけて、よくここまでやらせてもらった思いやる。これ以上は無理かなと自分の中で思った。
-土俵の未練は
鶴竜 決めた後に思うとよくここまでやれた、疲れたなと。けがさえ治ればやれる気持ちはあった。最後は残念だなと思う。
-(師匠に)どんな思い
陸奥親方 見ていてつらい部分もあった。一番苦しいのは本人。何とかもう1回という気持ちでいたが。
-大変な決断だが
陸奥親方 横綱は大変な地位というのが分かった。応援してもらった人たちに何とかもう1回、気持ちは伝わってくる。一方でもういいんじゃないかという思いもあった。最後は自分で決断した。ホッとした部分はあると思う。親方になって指導して、分かってくる部分はあると思う。
-(鶴竜親方に戻り)どんな思いが浮かぶ
鶴竜 まだそんなに時間たっていない。これからいろんなことが思い出されると思う。今はただただ、明日から体いじめなくていいんだとホッとしている。
-思い出はたくさん
鶴竜 16歳の若い子が夢を持って日本にやってきて関取になりたい、幕内になりたい、夢が広がって最後は横綱になれた。人間として男としてお相撲さんとして感謝の気持ちでいっぱい。
-大変な時期は
鶴竜 横綱に上がってからはほとんどけがとの闘い。今思うと数え切れないぐらい思い出ありますね。
-重圧は
鶴竜 上がった時から常に肝に銘じてというか、何かあった時でも相撲のことを考えてきた。今はそれから解放されて、うれしいというか、よかったというか、そういう気持ちですね。
-振り返ると
鶴竜 1通の手紙から始まったんで。「拾ってください」と。その言葉を守ることができたと思う。
-思い出の相撲は
鶴竜 いっぱいありますけど、やっぱり関取になれたのが一番がうれしかった。夢が広がったわけだから。最初の自分の目標。それを達成した喜びが大きかった。
-(師匠に)横綱は最初は一門の力士として見てきた
陸奥親方 やっぱりまじめ。余計なことを言わないし、本音も言わない。もともとそうだったのかなと。受け入れる方も不安あったが、一緒に生活して言ったことはちゃんとやってくれる。それでここまでこれたのかなと。
-一門を引っ張ってくれた
陸奥親方 みんなあこがれていたと思いますね。
-どういう親方に
陸奥親方 自分が苦労したことを押しつけるタイプではないと思うが、そこを厳しく言ってもらわないと強くならない。稽古場では厳しく、稽古場を離れたらやさしく。そういう親方になってくれたら。
-(鶴竜親方に戻り)先代師匠は
鶴竜 16歳で書いた手紙を読んで拾ってくれた。たくさん怒られましたけど一生忘れることないし、感謝しかない。稽古に対しては厳しい人だったが、離れたらやさしい。
-報告は
鶴竜 もちろんあいさつに行きたい。まだ行けてないですけど。
-子どもは
鶴竜 子どもに「もうパパはお相撲さんじゃなくなるよ」。「え、何になるの?」。「教える人になるんだよ」。「え、いいじゃん」と言われました。家族はずっと支えてくれた。本当に感謝したい。
-どういう力士を育てたい
鶴竜 人に教えるのは大変難しいと感じている。教え方、どうすれば強い力士が育てられるか、勉強していきたい。ただただ自分が経験してきたことを押しつけるのではなく、協会の看板を背負う力士を育てていきたい。
-横綱白鵬への思いは
鶴竜 自分が上がる前から横綱でいた。高い目標であったし、その高い目標を追いかけたから自分も横綱になれたと思う。
-貫いた信念は
鶴竜 絶対あきらめないが僕の信念かなと思います。
-横綱としての思い出は
鶴竜 いっぱいありますけど、けが乗り越えて責任果たせて優勝したこととか思い出す。もう1回責任果たしたかったが、それができなかった。
-決断したタイミングは
鶴竜 一昨日の晩から、もうこれは。また0からやり直して次の場所に間に合うのはという思いがわいた。これからの人生の方が長い。体のこともあるし、もういいかなと思った。
-来場所まで
鶴竜 やっぱり気持ちが切れてしまったというか、もういいかな、と。家族、親とも相談して納得して。
-横綱審議委員会(横審)から厳しい意見も
鶴竜 横綱の責任を果たせていないわけだから。これ以上は無理かなと思った。
-やってみたいことは
鶴竜 力士の時は運転できなかった。これから運転できる楽しみはあります。
-モンゴルの後輩へは
鶴竜 みんなそれぞれの運命。運もあるし。人に慕われる、後輩にも慕われる、いい人間に成長してほしいと思いますね。お相撲さんだけじゃなく、人間として成長してほしいですね。
-横綱という地位は
鶴竜 上がった当時は先輩から意見聞いたり、ビデオ見たり勉強した。ある時に気づいた。鶴竜は鶴竜。自分はありのままでいていいんじゃないか、と。それからは「横綱像」とかあまり考えなくなった。よくも悪くも7年間、やれたと思う。
-コロナがなければの思い
鶴竜 少なからずありと思います。(調整に影響)全くないと言わないが、外出できなかったりとかあったので。
-ライバル横綱への思い
鶴竜 そういう存在がいたからここまで長くとれた。負けない、自分も頑張る。そういう気持ちの張り合いがよかった。本当に感謝ですね。
-再起目指す白鵬へは
鶴竜 先輩だから。自分からエールは失礼。たくさん優勝して結果残している。また結果を残してくれると信じている。
-悔いは
鶴竜 全くないですね。やれることは全部やれたと思う。