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東京都町田市立小学校 小6女児自殺 | 授業中に1人1台タブレットのチャット機能で「うざい」「死んで」といじめ | ネット上の誹謗中傷に懲役刑導入

東京都町田市立小学校 小6女児自殺

東京都町田市立小学校に通っていた6年生の女子児童当時(12)が昨年11月に自殺し、同級生からいじめを受けていた可能性があることが分かった。同日、遺族が都内で会見し明らかにした。文部科学省が進める「GIGA(ギガ)スクール構想」で児童に1人1台配備されたタブレット端末のチャット機能を使ったいじめが常態化していた可能性があるという。

遺族らによると、女児は昨年11月30日、自宅の自室で死亡していた。遺書が残されており、クラスメートに仲間外れにされていたことなどへの悩みが記されていたという。学校側は当初、いじめとの因果関係を否定したが、今年3月に入り当時の6年生の保護者会を実施、いじめが自殺の一因となったことを認めた。

チャット機能を使って自殺した女児に対して「うざい」「死んで」などと書き込む

遺族側の調査では、女児は4年生ごろには同級生からいじめを受けていた可能性があるという。この小学校では平成31年4月、GIGAスクール構想に基づき児童1人1台にタブレット端末を配備。遺族側は加害児童が、授業中などに1人1台端末のチャット機能を使って自殺した女児に対して「うざい」「死んで」などと書き込み、ほかの児童とも内容を共有していたと指摘している。

端末を使ったいじめの相談が複数寄せられている

全ての小中学生に1人1台のデジタル端末を配備する「GIGAスクール構想」で文科省は、新型コロナウイルス禍による休校対策として計画を大きく前倒しし、今年3月末時点でほぼすべての自治体が配備を完了させた。一方、会員制交流サイト(SNS)を使ったいじめ問題などを背景に子供へのネットリテラシー教育が不可欠との指摘が多い中、1人1台端末を悪用したとみられる事態が発覚した。

文科省はこれまで1人1台端末使用に関して各教育委員会に「学習に関係のない目的では使わない」ことを徹底するよう通知を出すなどしてきた。しかし、GIGAスクール構想を急いだ結果、学校でのルールづくりは「十分に進んでいない」(東京都内の小学校教師)のが現状だ。

女児が通っていた小学校では、1人1台端末にログインするパスワードが全児童共通。チャット機能も教師の目を介さずに児童同士で自由に利用できる状態だったとされる。学校でのいじめ問題に対応するNPO法人「ユース・ガーディアン」の阿部泰尚(ひろたか)代表理事には、1人1台端末を使ったいじめの相談が複数寄せられているという。

文科省では今回の事態を重く見ており、事実関係を把握したうえで、「端末が教育現場で正しく活用されるよう対応していきたい」としている。

学校側がタブレットのパスワードを「123456789」に統一

東京都町田市立小学校の6年生女児=当時(12)=が2020年11月、「いじめを受けていた」とメモを残し自殺したことをめぐり、萩生田光一文部科学相は14日、「GIGAスクール構想」の先進事例として児童に配られたタブレット端末がいじめに使われたことを明らかにした。「極めて残念な事実。重く受け止め事実関係を確認する」として問題点を解明し全国の教育現場に伝える方針を示した。

女児の両親は学校側に、端末のチャット履歴について開示を求めていたが「履歴は見当たらない」と回答しており、いじめとタブレット端末の関連が、文科省の都教委、町田市教委への聞き取りで初めて明らかになった。

タブレット端末を起動する際のパスワードを「123456789」に統一

両親によると、児童同士がタブレット端末の画面上で女児の名前を挙げ「うざい」「お願いだから死んで」などと会話。女児もこれを見ていたという。この小学校では、タブレット端末を20年度までに全児童に配布していた。本年度から国が本格実施している「GIGAスクール構想」の先進事例としての位置づけがあったという。

自殺した小6女児の両親によると、女児が通った小学校では、児童に貸与したタブレット端末を起動する際のパスワードを「123456789」に統一し、IDは児童の所属学級と出席番号を組み合わせたものにしていたという。両親が同級生らに聞き取ったところ、端末上での会話について「自分が書いていないのに勝手に書き込まれた」「書いていた内容を消された」など「なりすまし」の被害を訴える複数の証言があったという。

両親は「他人のIDを容易に推測できたため、なりすましが横行していたのではないか。学校の管理がずさんだった」と指摘する。文部科学省情報教育・外国語教育課によると、端末には学業成績など個人情報も保存されるため、個々のIDとパスワードは本人と保護者、教員以外に知られないようにするのが基本という。

端末の管理について、町田市教育委員会の担当者は本紙の取材に「調査中のため答えられない」と話している。

ネット上の誹謗中傷に懲役刑導入

インターネット上の誹謗中傷対策を強化するため、法務省は刑法の「侮辱罪」を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めた。

上川陽子法相が14日の閣議後の記者会見で、16日の法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると明らかにした。侮辱罪の現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」だが、法制審では「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を検討。厳罰化に伴い、公訴時効も現行の1年から3年に延長となる。