皇帝ヒョードル“のラストマッチが消滅
総合格闘技のレジェンドで元PRIDEヘビー級王者のエメリヤーエンコ・ヒョードルの引退試合について、ロシア首都モスクワの中心地「赤の広場」での実施が計画されていたが、最終的にそれは見送られたことが分かった。
ベラトールのスコット・コーカー代表は13日開催の『Bellator 276』の大会後の会見で、ヒョードルの引退試合について「今年のモスクワ大会は開催しない。ヒョードルの引退試合もそこではやらない。別の場所での実施を検討している」と言及。
ヒョードルの引退試合を赤の広場で実施することについての許可をクレムリン当局から得ていたが、現在のロシアとウクライナ侵攻により、その計画を放棄したという。「我々はモスクワで驚くようなショウを計画していた。赤の広場での引退試合の実施は承認されていたし、ヒョードルの素晴らしい送別式になると思っていた。しかし、状況が変わっため、何か別の会場を探さなければならない」と、残念そうに語った。
ヒョードルは昨年10月のロシア大会で、ベラトール現ヘビー級2位のティモシー・ジョンソンと対戦し、衝撃の初回KO勝利。儀式的な引退試合ではなく最後まで競技者としてのラストファイトを行いたいとの本人の希望により、その最後の相手に、現ベラトール・ヘビー級王者のライアン・ベイダー(38=米国)を指名。
ヒョードルは19年にベイダーにまさかの秒殺KO負けを喫しており、その借りを返したい相手。そして、何よりベラトールの世界王者のベルトを巻いての引退がヒョードルの望むところだったのだろう。
ロシア・モスクワの美しさの象徴とも言うべき赤の広場での実施が確かに、皇帝の最後を有終の美を飾るにふさわしい場所だったのかもしれないが、現在の戦争が終結しない限りは、その実現はあり得ない。ヒョードルの引退試合はどこで実施されるのか。
ヒョードルの引退試合はウクライナ侵攻で幻に
ヒョードルの引退試合の行方が錯そうしている。引退を表明している“皇帝”は、総合格闘技団体「ベラトール」との3試合の引退ツアー契約を締結。
その第1戦目となった19年12月のクイントン・ランペイジ・ジャクソン(米国)戦はKO勝ち。母国での凱旋試合となった昨年10月の2戦目も、ティム・ジョンソン(米国)から106秒の秒殺KOを飾っていた。残すは1試合。
レジェンドの花道は大いに注目を集めていたが、先月24日からロシア軍によるウクライナ侵攻が勃発。これにより、母国で予定されていた引退試合は暗礁に乗り上げる形となった。
米格闘技専門メディア『MMA Junkie』によれば、ベラトールのスコット・コーカーCEOは、「今年中にモスクワでやることは絶対に不可能だ」と説明。そのうえで、実現間近だったヒョードル引退試合の構想を明かした。「モスクワでは素晴らしいショーの計画が組まれていたんだ。これは言ってはいけないことかもしれないが、我々は赤の広場で試合をすることを承認されていた。間違いなく英雄を送り出すには、これ以上ないものになると思っていた」 代替地となる舞台はいまだ不透明なままだ。
一部報道では、ベラトールが拠点を置くアメリカや、ヒョードルにゆかりのある日本での開催も囁かれた。しかし、コーカーCEOは「まだ何も決まっていない」と断言。そのうえで、こう続けている。「もう明らかな理由によって、我々はあそこ(モスクワ)で引退試合をするつもりはなくなった。いまは方針転換をして、何か別の素晴らしい場所を探している真っ只中だ。彼には素晴らしい送別の舞台を用意したいんだ。ただ、この状況ではどこにするべきかは分かっていないよ」母国のウクライナ侵攻によって引退の場を失ったヒョードル。レジェンドのラストマッチははたして…。